炎症性腸疾患(IBD)|西新なかむら内科 胃腸・IBDクリニック|早良区西新の内科・胃腸内科

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炎症性腸疾患(IBD)

炎症性腸疾患(IBD)|西新なかむら内科 胃腸・IBDクリニック|早良区西新の内科・胃腸内科

炎症性腸疾患(IBD)とは

炎症性腸疾患(IBD)とは

炎症性腸疾患(IBD)には主に潰瘍性大腸炎とクローン病の2種類があり、ともに難病に指定されています。いずれも慢性的な下痢や血便、腹痛、体重減少、発熱などの症状がありますが、治療をしなくても症状が落ち着いてしまうことがあり、診断が遅れる原因になります。IBDは早期の診断、治療が重要です。疑われる症状や不安がある場合は、お気軽にご相談ください。

潰瘍性大腸炎とは

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に炎症が起こり、粘膜が傷つく病気です。病変は直腸から始まり連続的に上方(口側)へと広がるのが特徴です。若年者から高齢者まで発症します。

潰瘍性大腸炎の症状

腹痛、下痢、血便があります。徐々に悪くなる場合もあれば、急激に悪くなって命にかかわることもあります。おなかの症状以外にも、関節の痛み、口内炎、皮膚炎などを合併することがあります。

潰瘍性大腸炎の診断

症状の経過、血液検査(貧血や炎症の有無、栄養状態など)、大腸カメラ(炎症の状態や範囲)、病理検査(大腸粘膜の一部を採取して顕微鏡で炎症を確認)、便の細菌検査などの結果を総合的に評価して、診断されます。

潰瘍性大腸炎の治療目標

一般的な治療の目標は、炎症が落ち着いた状態である「寛解(かんかい)」を長く維持することです。寛解にも、症状が落ち着いている「臨床的寛解」、大腸カメラで調べても炎症が無い「内視鏡的寛解」の2段階があります。

20年以上前は臨床的寛解が治療の目標でしたが、内視鏡的寛解を達成した方が大腸を切らなくて済む割合が多いことが分かるなどしたため、現在は内視鏡的寛解が目標となっています。

潰瘍性大腸炎の薬物治療

軽症の場合には、病変に直接作用して炎症を抑える5-アミノサリチル酸(5-ASA)で治療されます。飲み薬の他に、液体や泡状の薬をお尻から入れる注腸薬や坐薬があり、炎症の範囲によって使い分けられます。

中等症の場合には、炎症を広く抑えるステロイドで治療されることが多いです。ステロイドは3か月間を目安に使用されますが、約半数の患者様ではステロイドを減らす過程や止めた後で再燃(炎症が再び悪くなること)してしまいます。

これをステロイド依存性と呼び、広く免疫を抑制するアザチオプリンが使用されます。最近、炎症を起こすリンパ球が大腸の壁に移動するのを防ぐα4インテグリン阻害薬のカロテグラストメチルが、ステロイドの代わりの選択肢になりました。

ステロイドが十分に効かない場合(ステロイド抵抗性)には、腸管の炎症の原因となるTNF-αという物質を抑える抗TNF-α抗体、白血球を活性化させるIL-12、IL-23という物質を抑える抗IL-12/23p40抗体、炎症を起こすリンパ球が大腸に移動するのを防ぐ抗α4β7インテグリン抗体、炎症を起こす物質を広く抑えるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬を用いることがあります。

潰瘍性大腸炎の外科治療

急激に悪くなった(劇症)場合、薬物治療でうまく治療できない(難治)場合、大腸炎に関連した大腸がんができた場合などには、手術で治療されます。

クローン病とは

クローン病では小腸や大腸に炎症が起きることが多いのですが、口、食道、胃、肛門にも炎症がおきる可能性のある病気です。炎症が強くなり、長く続くと腸が狭くなったり(狭窄)、穴が開いたり(穿孔、せんこう)、腸と腸、腸と膀胱、腸と皮膚などの間に通路ができてしまいます(瘻孔、ろうこう)。10~20代の若年で病気になることが多いです。

クローン病の症状

腹痛、下痢、発熱、体重減少、痔ろうなどがあります。「おなかが弱い」体質と思っていたら、知らないうちに病気が進行して腸に穴が開いてから診断されることもあります。おなかの症状以外にも、口内炎、関節の痛み、皮膚炎などを合併することがあります。

クローン病の診断

症状の経過、血液検査(貧血や炎症の有無、栄養状態など)、胃カメラ・小腸カメラ・大腸カメラ・CT検査(炎症の状態や範囲)、病理検査(顕微鏡で炎症を確認)、便の細菌検査などの結果を総合的に評価して診断されます。

当院では小腸カメラやCT検査を行えませんので、提携する総合病院をご紹介します。診断時に病変の範囲を正しく知ることが大切です。

クローン病の治療目標

潰瘍性大腸炎と同様、一般的な治療の目標は内視鏡的寛解を長く続けることです(潰瘍性大腸炎の治療目標を参照ください)。炎症を繰り返すうちに腸にダメージが蓄積して、狭窄、穿孔、瘻孔といった合併症がでるとイメージしてください。

クローン病の治療

クローン病の治療は、栄養療法、薬物治療、外科治療の3本柱です。栄養療法は、消化しなくてもすぐに栄養素を吸収できる状態の栄養剤(成分栄養剤)を食事の代わりに飲んで、腸への刺激を無くして炎症を和らげる治療です。薬物療法は、重症度や病変の範囲などから適切な薬が選択されます。

具体的には、病変に直接作用して炎症を抑える5-アミノサリチル酸、炎症を広く抑えるステロイド、広く免疫を抑制するアザチオプリン、腸管の炎症の原因となるTNF-αという物質を抑える抗TNF-α抗体、白血球を活性化させるIL-12、IL-23という物質を抑える抗IL-12/23p40抗体や抗IL-23p19抗体、炎症を起こすリンパ球が大腸に移動するのを防ぐ抗α4β7インテグリン抗体から選択されます。

外科治療

腸がとても狭くなったり(狭窄)、腸に穴が開いたり(穿孔)、おなかの中に膿がたまったり(膿瘍)した場合などには、手術で治療されます。

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